これまで海外在留者のみに適用されていた東京都スタートアップビザ(正式名称を東京都外国人創業人材受入促進事業という)が、2021年4月より日本に在留している留学生も適用対象になりました。これにより、フレッシュで勢いのある人材の起業を、東京都が後押しすることとなります。また、日本での「留学」経験を活かし、よりスムーズな起業ができるようになりました。
「外国人が日本で起業をするためには、どうしたらいいの?」という問いに対して、従来であれば、事前に事務所を用意し、法人設立をし、常勤2名以上の雇用又は500万円以上の国内での投資を行って「経営・管理」の在留資格認定証明書交付申請(又は在留資格変更許可申請)を行うルートのみが考えられました。
これらの要件は、日本国内で起業を目指す外国人にとって大変ハードルが高いものでした。
そこで、外国人がビジネスのハブである「東京」にて、スムーズに起業し、事業の展開を実現するために、2016年1月から東京都スタートアップビザ(正式名称を東京都外国人創業人材受入促進事業という)制度が導入されました。
この制度が始まって以来、世界中から優秀な起業家、面白いアイデア、資金、会社が東京に集まってきています。
今回の記事では、制度の概要と留学生が東京都スタートアップビザを活用するメリットを説明した上で、弊所の提供サービスを紹介させていただきます。弊所は、開業から東京都外国人創業人材受入促進事業申請許可率100%を誇っています。
1.東京都スタートアップビザ制度の概要
1.制度の内容
まず「東京都スタートアップビザ」では、出入国管理局ではなく東京都に申請をし、東京都が独自に申請人の提出した書類等を審査し、活動に対する許可、不許可を判断します。そして、許可になった場合、特例的に6か月間の「経営・管理」の在留資格が認められます。
ポイント
お客様から「東京都スタートアップビザと経営・管理ビザって違うの?」という質問をよく受けます。厳密にいえば、入口が異なるので手続・期間は異なりますが、与えられる在留資格は同じ「経営・管理」です。
2.対象
- 海外在留外国人 (共同申請も可能です)
- 「留学」の在留資格を持つ外国人(大学、短大、専門学校、日本語学校も含む)
3.手続
①資本金500万円以上を準備
②事業計画書を中心とした必要書類の準備・提出
ポイント
事業計画書を中心とした必要書類とは?
- 東京都所定の創業活動計画書(=事業計画)
- 履歴書
- 許可後6か月間の宿泊施設の資料
- 誓約書
- パスポートコピー
- 500万円以上の口座明細
- その他、必要があれば添付資料
4.特徴
東京都スタートアップビザの手続の特徴といえば、以下に3点にまとめることができます
①東京都スタートアップの活動許可が下りてから6か月以内に会社設立を行うことができます。
②審査期間は約2か月です。他方、経営管理ビザの審査期間は、6か月から1年かかることもあります。
③起業の活動場所として「東京都内」を選択しなければなりません。
2.留学生が東京都スタートアップビザを活用するメリット
制度の概要を踏まえた上でのメリット・デメリットの対比
まず、メリットは2点あります。
1点目として、審査期間が経営・管理ビザに比べて、短いことです。起業されたい方にとって、「時間」は資本です。そのため、1分1秒でも早く自身のビジネスを始めたい方が多いのではないでしょうか。そういった方にとって、現行制度である「経営・管理ビザ」申請は、許可が下りるまで3か月~6か月(場合によっては1年)かかる時もあり、大変な時間のロスになってしまいます。
2点目として、会社設立~開業までの準備を許可後6か月以内に行うことができます。前術した通り経営・管理ビザの場合は、事前に会社を設立しなければならず、活動が本格化していないにもかかわらず、ビザ審査期間中も事務所の賃料を負担し続けなければなりません。この点、東京都スタートアップビザでは、準備手続等を許可後に行えることから、事務所賃料を無駄に負担することはありません。
これらを総合して、東京都スタートアップビザのメリットを一言で言うと、ビザ申請~会社設立~開業の手続の一連の流れにおいて無駄が少ない点にあるといえます。
反対に、デメリットとしては、「東京都内」を経済活動の拠点にしなければならない制限があります。これは東京都スタートアップビザが「東京都」特区の特別な制度だからです。ただ、日本の経済活動の中心は東京といえます。東京は、空港、交通機関による地方アクセスしやすいです。多くの外国人も、日本といえば「東京」をイメージされる方が多いのではないでしょうか。だとすれば、その東京都にて最初からビジネスをスタートできるのは、かえって起業する側にとっては、ビジネスをするいい機会だと言えます。
ポイント
まとめ
- 審査期間が短い
- 経営・管理ビザと異なり、会社設立~起業のために6か月間の在留
- 期間が与えられることから、起業活動のハードルが低い
- 「東京都内」の開業。もっとも「東京」は日本の経済活動の中心地である
3.弊所が提供するサービス
1.申請前
①創業計画書の作成・提出代行
②入国管理局への在留資格申請手続
2.許可後
③オフィス紹介
④口座開設のサポート
⑤法人設立
⑥東京都職員との面談サポート
⑦在留期間更新許可申請手続(別途料金発生)
3.費用
①手続に関する費用:当事務所報酬275,000円(税込)
②資本金:会社設立の際の資本金として500万円以上
ポイント
前述した通り、東京スタートアップビザは、「経営・管理ビザ」と同じ扱いのビザです。すなわち、いずれは会社を設立し、開業するためのビザです。
そのことから、会社設立の際に、経営・管理ビザの要件と同様に500万以上の資本金を準備する必要があります。
最後に、現在は世界的危機であるコロナウィルス感染拡大に伴い、人々の往来に制限がかかっている状況です。もっとも、その厳しい中で、東京都では2021年にオリンピック・パラリンピック(2020年度開催延期)を開催し、2度目のオリンピック開催地となりました。
「危機」という漢字は「危」(危ない)と「機」(機会)で成り立っています。これは「危機」的状況であっても、必ずそこには「機会」があるという先人の想いが込められているようにも思います。こういった「危」を「機会」として捉え、東京都で起業されてみませんか。
東京で起業をお考えの留学生は、ぜひこの制度の活用をご検討ください。
より詳しく知りたい方は、弊所の『徹底解説:東京都外国人創業人材受入促進事業とは』(https://www.kaisha-express.jp/tokyo-shogyo-jinzai/)の記事を合わせてお読みください。
最後までお読みくださりありがとうございました。